米津玄師のヒットを菊地成孔が分析していた。
写真は今年の3月までイチモニの天気予報コーナーを担当していた米津予報士
2020年3月からはテレビ山梨(UTY)の「スゴろく」の気象コーナーを担当。
菊地曰く
STRAY SHEEPというのはマタイ伝が出典ですし、作品のキーマンに藝大卒業者(東京芸術大学音楽学部で欧州音楽の教育を受けた人々)が多い事等々も含め、本人も自覚的だと思います。些かの強弁が許されるのであれば、世界文化が超欧米化(欧米文化の家畜化)に向かってるという趨勢の極例だという事もできます。 NEWSポストセブン 8/18
ここで菊地は
世界文化が超欧米化(欧米文化の家畜化)に向かっている趨勢の極例と言っている
欧米文化の家畜化とはどういうことか説明せよ、なんていう問題が現代文の問題で聞かれそうですね。
答えは米津玄師のインタビューの中にある。
海の向こうで巻き起こっていることの文脈を借りながら、日本人として生まれ育ってきた懐かしさとの引っ張り合いになりつつ、その中間のところにたどり着くにはどうしたらいいかって考えること。
『Real Sound』2017年10月30日付インタビュー記事
これが答えである。
この記事を書いている方は『家畜化』という文言に囚われて『欧州文化を飼い慣らすこと』、と言い換えているがこれではマルがつかないと思う。少し違うのではないかと思う。
続けて菊地は米津玄師の強度そしてKing Gnuの強度もこの、超欧米化にあると言う。
しかし、欧州文化を昇華しつつも日本的なものを求める引っ張りあいの中から生み出されるものは何も米津玄師が初めてではないと思う。
YMOがいるではないか。
クラフトワークから多大なる影響を受けた作品は数知れず、日本的な『テクノポップ』を作っていたではないか。
テクノポップっていう言葉で括ろうとする日本人の感性は大嫌いです。
さらにYMOの凄いところは、クラフトワークもYMOから影響を受けて作品を作ってさらにそれに影響を受けて…という弁証法的な構造をとることにある。
いま、米津玄師に影響を受けて作品を作っている海外のアーティストはいるだろうか。そのうち出てくるのかな。
というわけで、クラフトワーク〜YMO〜クラフトワーク〜YMOと弁証法的な再生産構造こそが最も先鋭な超欧米化なのであり世界文化化の先駆けなのではなかろうか。
というか、もう何十年も前に世界文化化は始まっているんだから趨勢とか極致ではないのである。
その再生産構造の初めの一歩をたまたま米津玄師もKINGGNUもとっていた、というだけである。あと芸大出身者がいるというだけで欧州文化とか考えてるのはダサくないか?とも思う。
だから菊地が超欧米化と言っても、今更感が滲み出るのである。
2組ともカッコいいけど。