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「長期政権のあと 佐藤優・山口二郎著」を読む

新書を読もう

新書を読むことで時代の流れのおさらいと

 

これからの時代の展望を知ることができます。

 

雑誌よりは詳しく、けれど専門書よりは平易ですし。

 

第一人者が書いたりしてますから割に信頼できるし。

 

ネットニュースなんかばかり見ていると

頭が腐ってきますから。

新書でいいからたくさん読むことにしました。

 

ということで第一回目はこの時機にぴったりの本。

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大学時代にお世話になった山口二郎先生と元外務省の佐藤優による共著、というか対談本ですね。

長期政権のあと (祥伝社新書)

長期政権のあと (祥伝社新書)

 

 

かいつまんで印象に残っている部分をまとめてみます。

 

官邸官僚内閣制

安倍内閣による内閣人事局の設立・内閣官房の強化により官邸にいる官僚の力が

強力になり首相の顔を見る「忖度」が行われるようになる。

 

 官僚の政策立案能力が低く、首相が政策の方向性を持たないので

矛盾した政策が支持率アップという目的のためだけに出てくる。

 

とりわけ、官邸官僚の中心である経産省の官僚の政策能力の低下がコロナ禍で露わに。

経産官僚はバブル崩壊後何一つ成果を上げていない。

キャッチコピー(クールジャパンとか)とポンチ絵(見栄えのいいフローチャート)を作るだけ。

 

アベノミクスとは何だったのか

経済=株価、経済=雇用と、株高・雇用だけで経済がうまく回っているように見せていた。株高は高齢者、雇用は若者、一部だけがアベノミクスの恩恵を受けた。

 

でも、何か政策を実行した結果ではなく「そう見えるだけ=表象」

 

 安倍総理より前に、長期政権となってきた内閣に共通するのが

「(株高+円安)×対米追従路線」であった。

 

目立った成果がないのに長続きしたのは公明党の存在が大きかった。

 

長期政権化した後は、人材が全く育っていないために破綻が来る。

 

幻想にしがみつく国民

はっきりとした成果がなくても安倍総理が(上っ面だけど)経済の安定を

自分の生活を守ってくれるのではないかという

「期待」と「幻想」を国民が持っている。

 

他に代わる人、政党がいないから消極的に安倍政権を選んできた。

 

当面は赤字国債の大増発、現金給付、中小企業への支援を展開するだろうが、

安倍政権後に大破綻が来るかも。

 

国民は変化を求めていない

消極的に現状を肯定している。なぜなら「ほかに代わりがいないから」

 

代わりがいないと思うから、ほかの選択肢が見えず、ほかの選択肢が育っていかないから代わりがいなくなる。

 

「安定or混乱」

今の国民にとって「変化」とは「悪い」変化であると思い、良い変化は想像できない。

今あるものがなくなる壊れることが「変化」であり「変化」=「不安」である。

 

変化は起きてほしくないという国民の消極的な思考停止が安倍政権を長期化させた。

 

長期政権の後の展開

超党派政権を樹立して官邸官房に集中した権力を立法=国会に取り戻す必要がある。

 

超党派政権になった時には、大政翼賛会のような翼賛体制になり、日本国民に強く根付く「同調圧力」とあいまって一瞬でファシズム化する恐れがある。

 

野党のホンネ

野党は本心で政権を取りたいと思っていない。自分たちが政権をとっても人口減少やコロナ禍の対応なんてとてもとてもできる自信がない。

 

自民が公明党の力を借りないと生き残れないのと同じく、野党も共産党の力を借りないと勝負できない。

 

選択の時

いい加減幻想から目を覚まして選択をしよう

「大きい政府」「小さい政府」

「高負担高福祉」「低負担低福祉」

国の規模がでかすぎるから実現できないなら「道州制」を再検討すべき

「経済」「思想」

欲望・利便性を抑えることのできる思想を教育で培う。

 

内部留保への批判

日本企業の内部留保は463兆円にまで積みあがっている

経営者は「いつ起こるかわからない危機への備え」だと言ってきた。

今がその時ではないか。

国が企業の内部留保を償還原資とする263兆円「新型コロナ国債」を発行せよ。

 

教育を取り戻そう

大学受験に特化しすぎた教育を変えよう

地理学を学ぼう

グローカル「グローバルに考え、ローカルに行動せよ」の実践が沖縄にある。

 

グローバル資本主義に戻してはいけない

日本は韓国・台湾・オーストラリア・ニュージーランド経済連携を強めブロック化していくべき。

韓国台湾から工業製品を、オーストラリア、ニュージーランドから農作物を調達しサプライチェーンを縮小化する、経済を地域内で回していくべき。

※農作物は北海道で調達しましょう!

 

感想

日本の現代史を政権という観点から俯瞰してみることのできる面白い本。

ただ、将来の処方箋がとぼしく、教育が希望だと言ってる割に

そのあたりを深める議論が乏しい。あまり教育のことについては知らないのだろう。

 

教育の処方箋を考えている本を、次は読みたい。